注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療薬として、メチルフェニデート(薬剤名:コンサータ)とアトモキセチン(先発薬剤:ストラテラ)が使用されています。
(現在は、インチュニブという新たな薬剤も出ています)
————————————————————
さて、妙な話ですが、ADHDの治療薬の作用機序は、十分には解明されていません。
それでも、効果のある症例があるため、現在でも使用されています。
この度、京都大学が、メチルフェニデートとアトモキセチンが異なる作用をもたらすことを発表しました。
メチルフェニデートでは、不安行動を高めるのに対して、アトモキセチンでは抑制する方向に働くようです。
※出典 「Molecular Brain」オンライン版
————————————————————
こうした薬は、さらなる研究と検証が必要と考えられます。
ちなみに、当院では、メチルフェニデートの処方を行っておりません。
この薬は、処方医が登録制になっていて、研修を含む資格を持ち、なおかつ登録する医師のみに限定されています。
実のところ、私は、精神科専門医であるため、この薬に対して、他科の医師より容易に登録の資格を行うことができます。
しかし、それを行っていないことに理由があります。
メチルフェニデートは、以前は、リタリンという抗うつ薬として処方されていました。
そして、その薬は通常の抗うつ薬よりも効き目を感じるようで、薬の獲得に熱心な方が結構おられました。
メチルフェニデートは、覚醒作用があり、気分の高揚に役立つ率が多くみられます。
それにもかかわらず、発売中止となったことには理由があります。
知らない方は驚かれるかもしれませんが、メチルフェニデートは、覚醒剤的な作用があるのです。
メチルフェニデートを服用すると、その代謝物により、覚醒剤検査で陽性が出ます。
現在、発売されているコンサータは、徐放剤なので、短時間作用のリタリンほど気分の高揚はみられません。
だから、リタリンに比べ、安全性が増した薬です。
しかしながら、そうした薬は、効果のある方は、10年以上は使用すると思われます。
長期にわたってどのような副作用が出現するのか想像できません。
以前、リタリンの処方を求めて、猛烈に激怒する方をみていたため、慎重になっているという一面もあります。
コンサータはよい薬で生活機能の改善し、より安全になっていると思われます。
しかし、当院においては、ただいまのところ、コンサータを使用する登録医として、申請する予定はありません。
どうか、そうした事情を知っていただき、ご理解いただけたらさいわいです。