能力と性格の善し悪し。
「どちらかをとれ」と言われれば、それなりに困る選択です。
これは、業界や行う仕事によって変わるでしょう。
例えば、為替ディーラーなどは、性格が多少悪くとも、会社に利益をもたらすパフォーマンスを上げていればいいのかもしれません。
一方、難しくない接客を行う業務では、気遣いや思いやりのある人を入れて、顧客満足を図った方がいいのかもしれません。そこに、IQ値は、さほど関係しません。
医療事務は、難しいところは難しく、大まかなところは、さほど難しくはありません。
分からないところがあったら、訊ねるという姿勢は大切ですが、それがクリア出来る人がいるのなら、基本的には性格がよくて、コツコツまじめに仕事をする人の方が患者受けや職員関係のことでいいようです。
どんな仕事にも言えることですが、「こうでなくてはならない」という固定観念を持たない方がいいように思えます。
例えば、医療の事務であれば、医療事務の資格を持っているとか、実務経験があるとか。
確かに、実務ができる人が誰もいないと困ります。
しかし、病医院だからといって、医療事務を習った人に限定しない方が得だと思えるのです。
医療事務は、難しい内容でなければ、概ね基本能力を持った人にできます。
ですから、中核になる人が1人か2人いれば、後は、自由に選別した方がよいと考えています。
実際、求人で「医療事務資格者」とか「医療事務の実務経験者」で募集すると、応募の数が減ります。
しかも、髙い能力を持った人が面接する可能性が低くなります。
一方、資格の壁をなくし、コンピューター操作にたけた人、パソコンの打ち込みが得意な人として応募すると、資格の垣根を越えて多くの人が応募されます。
また、普通では来ないような優秀な人の応募もあります。
コンピューター操作については、実際にタイピングをしてもらって、その値を測定したり、Excelの関数の使い方を訊ねたりすると、ある程度の技量が分かります。
こうして当院では、国立大学卒業の人を2人ゲットしました。
こうした人は、ある民間会社の能力テストをやってみても、成績がいいですね。
そして、飲み込みも早い。
ただし、性格がよくないと思えば、採用しません。
一方、能力テストでは今ひとつだけれど、性格がよいと判断した人には入職してもらいました。
性格については、不明な部分が多いので、対面の面接と、適性検査の両方をクリアした人だけを採用しています。
総括すると、最低限の能力は必要になるけれど、それがクリアできたら、後は性格で決めた方がいいと思うのです。