前回、動物の精神疾患のお話をしました。
今回、犬や猫に関する発達障害についてのお話です。
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まず、犬と猫では、教育による行動の変化に違いが生じます。
犬は、「教育の仕方」により、大きく変貌します。
しつけができていない犬は、問題行動が多くなります。
障害があるのか、あるいは精神病なのか区別できない事例もあります。
一方、猫は、「しつけができない」と言われています。
実際にはいくらかの訓練や教育はできますが、猫にとってストレスになり、一概によいと言えないようです。
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さて、犬で多くみられる発達障害として、
ADHD(注意欠陥・多動性障害)があげられます。
多動な子が相応の割合で見られます。
また、興味を別のことにそらすと、前の興味や行動を忘れることが多いようです。
多動と忘れがADHDの特徴と合致します。
適切なしつけによっても矯正されない場合は、発達障害の可能性が高くなります。
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一方、猫は生来、犬と異なった性格を持っています。
・群れではなく、個で生きる子が多いこと
・犬は人になつきますが、猫はひとりですごしたい時間が多いこと
・好きな人にはなつきます。そうでない人には興味を持ちません。
・猫同士が出会うと、目をそらすことが普通です。目を合わせると、激しいケンカになることがあります。
・飼い主に気に入られようとするより、自分の好きなように遊びます。ひとり遊びもします。
こうした傾向から、猫は、人でいう、「自閉症スペクトラム障害(以前アスペルガー症候群と呼ばれていた障害)」に近い性質を持っていると言えます。
猫も、当然のことながら、環境によって、性質が変わります。
また、個体差により、飼い主になつく子とほとんどなつかない子があり、その度合いは犬と比べて差が大きくなります。
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こうした発達障害あるいは、個性は、薬によって変えることができません。
うまく適応させていく環境作りが大切になります。