メス猫のミーちゃんを押さえつけ、2つあるエサ箱も自分のものとして、占有していたマー君。
彼が、だれと一緒に過ごすか?
ミーちゃんと同じ部屋だとミーちゃんが暮らすことができません。
2階を3分割することも考えました。
しかし、案外、マー君はアイちゃんに慣れたのか、2階のドアを開放して1階に降りられるようにしても、いつの間にか2階に戻ってきています。
マー君ともアイちゃんとも共にすごすことのできないミーちゃんは、さみしくひとりで生活しないといけなくなっていました。
そのため、私は布団を持って降りて、夜間は、ミーちゃんと一緒に寝ることにしていました。
心地よいベッドを放棄して、階下のふとんで寝るのは、少し窮屈です。
でも、人なつこくてさみしがりやのミーちゃんのためにと思い、我慢していました。
ネコは、ワンコと違って、自分の好きにする習性があります。
犬だと私が寝ている側で一緒に寝てくれます。
ところが、ミーちゃんが、私のふとんに来てくれることは、ほとんどなく、いくらかの時間を触れ合ったり、近くで過ごしたりするという程度なのです。
そうなると、ミーちゃんのために割く苦労がとても虚しく思えてしまいます。
どのようにしたらいいのか、迷いました。
そういう中で、1つだけ予め決めていることがありました。
それは、マー君を月齢3ヶ月くらいで買ったペットショップに相談したところ、ネコをつがいで飼うと、必ず増えるから、対策を立てた方がいいということでした。
ヨーロッパでは、ネコを飼う際には、避妊手術をする割合が80%くらいに及ぶそうです。
日本では、このところ、ネコブームが続いていますが、家から出して、別の場所に住み着くことが多々あります。
そして、半野良猫と化して、周囲のネコと交わり、繁殖して困る事例がふえています。
そうしたことを踏まえて、マー君は、おとなになる手前、男性ホルモンが増加して、なわばり争いの象徴である、マーキングを行う前に手術する予定にしていました。
それを生後5ヶ月頃の時期に定めていました。
幼い時期に手術を行うと、生命に危険を伴うリスクが高いため、少し成長するまで待っていたのです。
そして、いくらか体格が整って体力がついた後に手術してきたのです。
つまり、先日、マー君は、宦官(かんがん)になったのでした。
手術の当日は、傷が痛いのか、あまり動かず過ごしていました。
しかし、執刀した獣医の先生は、経験豊富で腕が良いと評判で、切り口も1cm程度で小さく、手術もわずか3分程度で終わったそうです。
そのため、手術翌日、そしてさらに次の日には元気になっていました。
それとともにミーちゃんに対する変化も見られました。
これまでは、自分が完全優位に立とうとしていたマー君ですが、ミーちゃんを押しのける仕草がずいぶん減りました。
エサも占領することがなくなりました。
ミーちゃんもその変化に気づいたのか、これまでマー君が使っていたトイレも遠慮して敬遠していたのですが、自分でも用を足すようになりました。
そして、しばらく2匹を同じ階で過ごさすことにしてみました。
傷が癒えるまで、マー君は、アイちゃんと一緒に過ごさせない方がよいとも考えていました。
とは言え、不思議な縁ができたのか、マー君は、軽くどつかれるアイちゃんのいる所に自ら行くのです。
試行錯誤した末、ミーちゃんと交わることがないよう、アイちゃんの行動範囲を物理的に狭めてから、ミーちゃんを2階に連れてくることにしました。
当然のことながら、ミーちゃんは、高い所に隠れ、アイちゃんは、ヒーヒーわめいていましたが、その内、アイちゃんのヒートアップがおさまったため、犬、ネコ、人と家族全員、2階で過ごすことにしました。
さて、これからの生活がうまくいくか、また試行錯誤の日々となるでしょう。