急遽、焼き肉屋に予約をとった。
例えば、鮨のおまかせコースだと、握りのペースがあって、相応の時間がかかる。
予約の厳しい店だと、開始時間が決まっていて、一通りの客に1つのネタが提供された後、次のネタに移る。
だから、そういう形態の店だと、食べる方より作り手の方に時間を要する。
コースが終了するのに2時間くらいかかることが多い。
ミシュラン店の鮨や天ぷらに、こういう制度を利用しているところが多い。
焼肉は、肉を自分で焼くため、焼き加減や食べる速さは、まちまちとなる。
特に、酒をよく飲んで話をする人は、話に気を取られて、遅くなりがちだ。
食べる楽しさよりも、なごむ快適さの方を重視していることもよくある。
一方、私の家族が食事をする時、味重視でいくことが多い。
そして、私を除く他の家族は、みんな食べるスピードが速い。
今回の焼き肉店は、〆のクッパやビビンバを注文すると、結構時間を要することが過去の経験で知った。
そのため、肉の皿を1皿丸ごと残した状態で、テールクッパを注文した。
余談だが、テールクッパ3つと注文したら、後で、同じ店員さんが、
「本当に3つでいいのですか?」
と聞き返してきた。
案外、テールクッパを注文する人が少ないのかと勘ぐった。
いつもは、カルビクッパを注文していたのに、前回、試しにテールクッパを頼んでみた。
すると、しっかりと煮込まれたテールとそこに付随した肉が濃厚なダシを抽出していた。
さらに、カルビクッパは、我々の感覚では、辛い。
香辛料が辛いのではなく、塩からいのだ。
ところが、テールクッパは、薄味で、塩味が少なく、後で塩分を追加してもいいほどだった。
テールクッパは、カルビクッパと比較して、少しだけ値段が高めだが、それでも50円ほどの違いしかない。
品質と価格が乖離した商品を発見した私たちが逃すはずがない。
余談のさらに余談になるが、ある中華料理店で、きゅうりの漬け物を一時期、よく注文していた。
サッパリしていて、300円の前菜としては、お得感が高かったから。
それが、消費税が5%から8%に上げられた時、価格の一斉改定が行われた。
そのお店では、概ね1000円が1050円という具合に、5%程度の値上げが標準だった。
それが、きゅうり漬けに関しては、300円が400円と33%も値上げされたのだ。
お店の人もきゅうり漬けが安いと気づいて値上げしたのかもしれないが、それでも、上げ幅が大きすぎた。
ほどなく、我が家は、その品を注文することがなくなった。
少しだけ話を戻すと、我が家が、テールクッパがお得だと感じて、注文していることにお店が気づくかどうか。
さてさて、ここで、ようやく本題に戻る。
上ロース2人前の皿を丸ごと残したまま、テールクッパを注文した。
そして、ロースを食べ終わった頃、クッパが配膳された。
つまり、早めに注文することで、手持ち無沙汰の時間がなくなったわけである。
これによって、何か起こるか?
食事をする(食べるという行為だけ)時間のムダを省くことができた。
席に着いてから、支払いをするまでの時間が概ね1時間。
これは、自分たちだけの問題ではない。
早い客は、お店から重宝される。
回転率を上げることができるからだ。
安い値段でウダウダしている客は嫌がられる。
そこそこの値段を支払って、早く済ます客は、喜ばれる。