「こころのチキンスープ2」で紹介されている話です。
古くはタルムードという聖典にも同じような話が出ています。
ある男が神様に天国と地獄をみせてもらいます。
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▼「まず、地獄を見せよう」と神様は男を案内しました。
そこには、大きな鍋を取り囲むようにたくさんの人間が座っていました。
鍋は、うまそうな肉や野菜の香りを放ちながら煮込まれています。
鍋を囲む人は手に固定されたスプーンがにぎられているのですが、
スプーンの柄が腕よりも長いため、
食べ物を口に入れることができません。
人々は飢えで苦痛にゆがんだ顔をしていました。
▼「今度は天国を見せよう」と神様は言いました。
そして、案内された部屋には…。
大きな鍋の周りに人が座っていて、手に固定された長いスプーンを持っています。
鍋の周囲にはうまそうな芳香がたちこめています。
先ほどの地獄の風景と似通っていました。
だけど、なぜかそこに座っている人々の顔には満たされた笑顔がありました。
男は神様にたずねました。
「ここにいる人は幸せそうなのに、
さきほどの人たちはなぜ苦しんでいるのでしょう?
どちらも条件は同じだというのに」
神様は答えました。
「ここにいる者たちは、お互いに食べさせ合うことを学んだのだ。
ただ、それだけの違いなのだよ。」
アン・ランダース