私は、時々、行けるかどうかわからないけど、
魅力的と思われるコンサートチケットを
購入してしまうことがあります。
行く日が近くなって、
行こうか、やめようかよく悩みます。
その悩みは、余分のかかる
交通費や宿泊費の問題であったり、
仕事を休まないといけないという
労働上の問題であったりします。
そして、よく考えます。
▼ このチケットは捨てるべきなのか?
今日は、捨てた方がよいチケット、
使ってよいチケットについて
考えてみます。
————————————————–
■ 私たちは、約束された債権を購入します。
例えば、コンサートチケットがその一例です。
これは、いついつ、どこで、誰々が、
どういうコンサートをするから、
そこに出席する権利を付与する
という権利証であります。
この債権は、通常、コンサートを聴く
権利としてしか通用しません。
その権利を求める人が多かった場合、
ダフ屋が買い取って、転売したり、
オークションにて高値で売れることは
ありますが、通常では、
買った金額以上の価値はもたらしません。
■ それでも、このコンサートはぜひとも聴いてみたい!
と思った場合に、人はお金と労力を払い、
参加するのです。
▼ しかし、そのコストが非常に高くて、
行くべきか、行かざるべきかを
迷ってしまうような状態では、
私たちは、葛藤状態(コンフリクト)に
おちいってしまいます。
・ 一例ですが、チケットそのものは安いけれど、
場所が離れているため、
交通費の方がはるかに高くつき、
トータルコストでは、そのコンサートに
行くと損をした気分になる。
■ コストとパフォーマンスの兼ね合いの問題では、
・仕事であれば、損得を勘案して割り切る。
・ 趣味であれば、どこまで許容できるか
自分の気持ちと、経済状態から考える
ことが必要になるでしょう。
■ ここに一つの問題を提示します。
町内会で運動会をすることになりました。
運動会は、晴れていれば、運動場を
無料で貸してもらえることになりました。
一方、雨天の場合は、不本意ながらも、
体育館を借りなければなりません。
その体育館を借りる施設使用料が
5万円かかりました(返金不可です)。
▼さて、当日を迎え、天気は快晴です。
その時、使用料を支払った体育館と
運動場と、どちらを使用することが
より合理的な行動なのでしょうか?
さて、結論から言うと、
運動会がより楽しくできる運動場で
行う方が合理的なのです。
前金で支払った5万円は、
返ってこないけれど、
それを捨てて、より楽しくできる
方法を選択するのがベターなのです。
▼ では、その体育館の利用料は、
ムダだったでのしょうか?
いえ、その利用料は、
「保険代」という
必要経費と考えて、
割り切るのです。
運動会を体育館で行おうと、
運動場で行おうと、
そのお金は、もう返ってきません。
こういう返金のきかないお金を
▼ サンクコスト(埋没費用)
といい、惜しまないことが大切なのです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/埋没費用
■ 公共事業などで多額のお金を費やして、
ムダだと指摘されても、
やめることが難しいケースがよくあります。
▼ イギリスとフランスが共同開発した、
超音速旅客機のコンコルドが撤退しましたが、
開発当初から、コストに見合わないと
いう話が出ていました。
しかし、かなりの費用をつぎこんでしまうと、
撤退することが難しくなるのです。
▼人は、破滅するとわかっていても、
道を引き返すよりも
そのまま進むことが多い。
多大な費用と労力をかけた場合、
損失を大きくするとわかっていても
引き戻すことが、難しくなります。
そうした道にあらがうには、
勇気、決断、痛みに耐えること、
そして、叡智が必要なのですね。