「ちはやふる」の旧最新巻を読んだ。
かるた(百人一首)に青春をかける高校生を中心とした物語。
掛け値なしに自分の命を注ぎ込んでいるすがすがしさ。
そして、悲喜こもごもの物語に思わず、涙がにじんできた。
その競技には、確固とした世界がある。
文化部なのに、運動部かと思われる厳しさと体力、気力を要求される。
主人公のみならず、周辺人物のキャラクター設定、描写、心情のくみ取りも見事。
派手な感じはないが、奥深いマンガ。
私が少しだけ趣味にしている囲碁は、そうそうは食っていけないけれど、プロになれれば、食べていくことができる。
そして、プロの第一人者になったなら、収入も1億円超えを達成することもある。
そんな中において、「かるた」は、プロすら存在しない世界。
女性で一番強いクイーンもかるたでは食えない。
だから、安いアルバイトをする。
でも、かるた以外のことは、とても不器用だから、簡単なアルバイトすら、こなせない。
ああ、なんたることか?!
その世界では、刮目されるにも関わらず、一般社会では見向きもされない。
その人の強みがお金に還元されなければ、世間では強いとは言われない。
我々は、生きていく以上、何かの方法で食っていく道を探す必要がある。
その道の第一人者になって、地位も財産も名声も手に入れることのできる人は、しあわせである。
しかし、金銭を得ることのできない世界で一生懸命生きている人もまた、魅力的だ。
どういった分野であろうと、その道を知って分け入っていけば知ることになるが、どんなに自分が得意だと思っても、自分より優れて活躍している人が必ずいるものだ。
人の営みは、細い道のようでいて、案外深い。