箱物ばかりを作っても仕方がないとよく言われる。
いらぬ建物を作るのは、大変ムダなことだ。
といって、必要なものもあるから、実を見て決めなければならない。
最近、インターネットでいろいろできるようになった。
税金もネットで処理することができるようになった。
では、税務署はいらないのか?
そうは、ならないだろう。
書類はなくならないし、相談場所、打ち合わせ場所も必要となる。
市役所や県庁の建物を省略することができるか?
スペースの縮小は考慮してほしいが、なくすことは、行政を滞らせる。
そんな中で、最近、区役所の建て替えに伴い、多くの費用が必要なところを実質0円でまかなったという話がある。
これは、豊島区の区役所の庁舎建設に伴うものである。
新庁舎の建設計画が浮上した当時、豊島区は、財政難で、計画は白紙となった。
しかし、財政は好転せず、1999年に区の借金は872億円まで膨らんだという。
お金はない、しかし建物は老朽化する。
豊島区の新庁舎の総工費は、約430億円と言われた。
それを3つのパターンで検討し、もっとも費用のかからないプランを採用したという。
具体的には、地上49階建ての建物を作り、9階までが区役所、11階以上をマンションとして建設したという。
用地は、閉校した小学校と児童館を中心としたもので、周囲の民家は、権利を変換することで話がまとまったという。
マンションを売却することにより、実質建設費を0円とした。
なお、管理組合は、住民と区とで分けているという。
現代の錬金術のようにもうつる手法である。
しかし、思い起こせば、品川で、50年の定期借地にすることにより、マンションの売却価格を下げ、あっという間に完売させたという話があった。
お金をかけない方法だけでなく、産む方法を考えない行政に批判が集まっても仕方がない時代に突入したのかもしれない。