2015年12月4日
値段のいい加減なラーメン屋

繁華街にこじんまりとした店がある。
そう書くと、少しおしゃれ感が漂う場合もあるが、現実は異なる。

8畳ほどの狭い間口の古い館。
Uの字型のカウンターだけで、お手洗いもない。
おまけにドアもない。
シャッターを開けたら、すぐにお店だ。
一応、軽くビニールで覆っている。

いい加減な雰囲気のおっちゃんが、ラーメンを提供している。
独特の味で、それなりにおいしいので、たまに行く。

最近、若い兄ちゃんが働き出した。
兄ちゃんが来て、ダシが引き締まって、麺の量も増えた。

先日、訪れたところ、奥になじみ客らしき人がいて、おっちゃんと話をしていた。
仕事の相談、あるいは、愚痴のようだ。
おっちゃんもこの世に早く生を受けた人として、自分のアイデアを語っている。

漠然と耳に入っていたが、おっちゃんの言うことは、少し真剣に検討したことがある人なら、考えつきそうなこと。
やはり、なぐさみ相談なのだ。

お店は、元々入っていた人が出て、また新しい人が入店した。
混雑していないから、いいようなものだが、奥の客、他の客の妨害となる恐れがある。
でも、話は続いている。

結局、話は、私が入店して食べ終わった後も続いていた。

帰り際、お店の壁に大々的に貼り出している値段表を見て支払うと、おっちゃんは、小さな値段表を持って来た。
どうやら、値段に相違があるらしい。
そうか、そういえば、今年のどこかで値上げをしたのだったっけ。

予めサイフから抜き出して用意していたお金では足りないので、もう一度、サイフを取り出して50円を追加した。

それにしても、おっちゃん、ええかげんもほどほどにせいや。
この店は、何となく許されているけど、若い衆と2人の生計を立てるなら、もうちょっとまじめに営業した方がええで。

偉そうに経営の話をしたところで、大々的に書いてある値段に間違いがあるのでは、信用をなくすだろう。
今のところ、言う客がいないのか、おっちゃんがいなしているのかは分からない。

それから、おっちゃん、お手洗いがないからと言って、他の店の場所をいつも借りているようでは、発展しないと思うぞ。
使用料金を払っているなら、なるほどと思うけど。

それで、やはり思うのは、大きな経営戦略を語る前に、目の前の小さな約束を守った方がいいと思うこと。
おっちゃん、いい人だと思うけど、商売人としての信用はないよ。