総務省や厚生労働省で所得や貯蓄額のデータが提示されている。
統計のデータは、母数も違うし、偏りも異なるし、抽出の仕方にもよる。
例えば、60歳以上の人がどのくらいインターネットを行うかという調査が行われたことがある。
その調査では、80%以上の人が日常的にしているとあった。
……これって、本当だろうか?
60歳くらいの人は比較的するかもしれない。
70歳くらいの人がそんなにするだろうか?
ましてや、80歳代の人は?
実は、この調査は、インターネットを行うという調査を「インターネットで」調査した結果だった。
すでにインターネットにつないでいる人にアンケートするわけだから、「行う」という人が多くて当然だろう。
こういう調査は、明らかに抽出した母集団に偏りがある。
さて、貯蓄の話に戻ろう。
貯蓄と負債
統計では、日本人の1世帯当たりの貯蓄額の平均は、1,047万円となっている。
負債の平均は、439万円である。
これって、本当だろうか?
負債は、家を建てたり、子どもの教育が必要な30代から50歳くらいまでがもっとも多い。
これは、理屈としてうなずける。
一方、貯蓄について、1,000万円が平均と言われたら、「うちは、そんなにはないよ」という家庭が割合多いだろう。
これは、統計学的には、貯蓄の多い富裕層が全体の平均額を引き上げていることがあげられる。
最も多い最頻値は、これより少ないと思われる。
ただ、全体として、現在の日本では、60歳以上の人に富の半分以上がある。
お年寄りは、本当に金がないか、かなり所有しているか、差が激しいというわけだ。
最近、高齢者が次の世代あるいは、その次の世代にお金を渡しやすいように税制が変わっている。
・親が子どもに対する住宅資金援助の控除枠の増額
・孫の教育費を出しても税金がかかりにくくなった
日本は、高齢者に一番お金がかかっているが、その反面、財産を多く持っているのも高齢者が多いというジレンマを少しでも解消しようとしているように見える。
介護の世界のみならず、現役世代でも中間層がやっかいなことになってきている。