2019年5月11日
自閉症とオートファジーの関連について

オートファジーについて

2016年10月、大隈良典氏が、オートファジー(自食作用)が生命を維持するために重要な働きを持っているとして、ノーベル医学生理学賞を受賞されました。

オートファジーは、不要になったたんぱく質のお掃除とリサイクルを行っていると言われています。これが生命維持に重要な働きをしていると考えられています。

パーキンソン病などの神経疾患は、このオートファジーがうまく働かずに不要な蛋白が脳に蓄積するした結果、発症すると推定されています。

自閉症との関連

理化学研究所の研究グループは、オートファジーがうまく機能しなくなると、自閉症のような行動が誘発されることを分子構造レベルで解明しました。

※ 神経細胞でオートファジーを欠損させると、本来は不要たん白質とともに分解されるオートファジーに関連したたん白質p62が細胞内に蓄積、神経伝達物質GABAの受容体を輸送するGABARAPたん白質群を巻き込んで共凝集体を形成する。すると、GABARAPたん白質群が同受容体を輸送できなくなるため、細胞表面で機能する受容体の数が減少、神経細胞の興奮性と抑制性のバランスが低下し、自閉症のような行動を示した。また、p62たん白質と共凝集しないGABARAPたん白質群変異体を発現させたところ、細胞表面におけるGABA受容体の量が回復した。

(化学工業日報より引用)

今後の治療法に対する期待

自閉症患者の一群にオートファジー機能の活性を制御する重要な因子として知られるたん白質リン酸化酵素mTOR活性の異常な上昇がみられことが知られています。

今後、こうした遺伝子に関与する新しい治療法が期待されています。