大学の専門に入る前の教養では、文系で心理学の授業を受けることができるかもしれません。
もう昔のことで覚えていませんが、私は、心理学の講座を受けたことはありません。
そもそも、教養で心理学を受講できたのかどうかも分かりません。
心理学は、専門課程の講座になるのかもしれません。
では、医学部の専門課程に入って、心理学を学ぶことができるのか?
もし、学ぶとしたら、内科や外科などではなく、精神神経科しかあり得ないと考えます。
しかし、精神科では、精神医学の授業はありますが、心理学の講座はありません。
精神医学とは、いわゆる精神疾患に関する病気の理解を行う講座です。
疾患の特徴や分類、そして、治療法について学びます。
とは言え、医学の世界は広いですから、精神科の講義自体もコマ数が限られています。
精神医学と心理学は、別の学問ですから、基本的に心理学の講義はありません。
仮に、1時間〜数時間の授業を行ったところで、何が身につくというものではありません。
精神科医というと、心理学の専門家だと思われている方もおられますが、実際は違います。
医学的な病気を診断ならびに治療していくことに重きを置いています。
その中で薬を使う、薬物療法が大きな役割を果たします。
精神的な病気を診る、そして治療するためには、心理的な要素も知っていた方がよいため、ほとんどの精神科医は独学で勉強しています。
心理的治療に関心の高い精神科医は、大学などでチームを組んで、思春期外来などで、心理学的な精神療法を行うところもあります。
こうした場合には、心理学を専門に学んだ、臨床心理士と同じような診察を行う医師もいます。
心理士と医師ができることで決定的に異なる点は、薬を使うことができるかどうかです。
臨床心理士の場合、精神病だと確信しても、診断を確定し、その先の治療を行うことができません。
これは、法律上の問題です。
私も高校生までは、精神科医は、心理的な治療を中心に行うものだと思っていました。
しかし、現実に病院に入ってみると、入院患者の半数以上は、難治性の精神疾患をわずらった方たちで、治療は薬物療法が中心でした。
また、その薬物の使い方が独特で、何のために、その薬が入っているのか、皆目見当がつかない状態でした。
病院の現場では、心理学よりも薬の治療に重きを置いていかなければ対処できないという現実があるのでした。
ですから、心理テストや特殊な心理療法は、臨床心理士に任せて、精神科医は、精神医学に注力するという方向が一般的でした。
これが、医学部に心理学の授業がなかった要因かと思われます。
今は、時代が変わって、精神科医も心理療法の配分に比重を移す人が増えています。