2017年8月18日
元気でいてよ、と言われる

最近、高齢の患者さんから、「先生、元気でいてよ」という、ありがたい言葉をぽつぽつ聞くようになった。
「先生、年はいくつ?」と聞かれることもある。

なぜ、そういうことを聞かれるのか、最初は分からなかった。
しかし、後に続く言葉から、推定できた。
「自分が生きている内は、大丈夫じゃな」
「私の方が先に逝くから、心配ないわね」

そう言われる方は、ここに自分を治療してくれるところがある。
自分が行けなくなるまで、やっていてほしいと考えられているようだ。

薬の服用の有無については、個人的な見解が分かれる。
ただ、とても苦しかった時期を経験した人が、治療によってよくなった後、どうしたいかは、個人の考えや年齢によって考え方が異なる。

若い方は、よくなって、飲まなくていいなら、薬をやめたいと考える人が多い。
私も、原則、そのように考えている。
一方、お年の方は、飲んでいて、副作用も感じずに楽にすごせるなら、このまま続けてもいいと考えられる方が多い。
そして、自分が元気なうちは、なじみのところに通って薬をもらいたいと思う。

私もいくらか年をとって、そういうなじみの人が増えてきたかなと感じる。
ちなみに、分野は変わるが、私は、散髪屋には多少のこだわりがあって、どこでもいいとは言わない。
カットの技術だけでなく、落ち着くところでないと嫌なのだ。

「元気でいてよ」
「続けてよ」
そう思ってくださるのは、ありがたい。
自分の存在が、その人の安心に寄与しているのは、うれしいことである。