最近の一連の記事を読まれた方は、「知らなかった」という内容もあったと思います。
知らないついでに、病院では常識で、患者さんには知らない事情をお伝えします。
患者さんは、ほしい薬があると出してほしいといいます。
頭痛にロキソニンがほしいと指定してくる人がよくいます。
そして、病院もよく出しています。
だから、当たり前のようになっていて気づかないことがあります。
ロキソニンという薬は、鎮痛薬です。
この薬には、腰痛症に対しての適応はあっても、頭痛に対しての適応はないのです。
ですから、ロキソニンを出したことによる病名を頭痛症にした場合、保険で査定されることがあります。
査定とは、病名にふさわしくない処方や治療をした場合、あるいは過剰投与をした場合に、金額の減額を行う措置です。
厳しい目で見ると、ロキソニンには、頭痛症の適応はない、すなわち、頭痛に対して健康保険が使えないため、保険がおりず、自費扱いとなることがあるのです。
こういう例に対して、患者さんは、知らないし、鈍感です。
なぜなら、マイナス査定による減額を支払うのは、病院だからです。
その請求額は、保険金額ではなく、自費での金額です。
患者さんは、薬を受け取って自分のものにしたら、しめたもので、減額を受けた場合は、病院の自腹です。
しかも、腹立たしいことに、この減額査定の通知は、薬を出して、半年以上経ってやってきて、それから、発覚して対策をとるまでに何ヶ月も減額され続けるのです。
病院は泣き寝入りです。
この減額査定を患者さんに行った場合、患者さんは、絶対怒ると思います。
そして、認められなかったら、自費になりますがと言うと、敬遠する人が増えると思います。
本当に医療費を抑制したかったなら(一案ですが)、病院だけにリスクを負わせないで、患者さんにも一部のリスクを分担してもらい、患者さんの支払いについては、保険組合が責任を持って回収するということにしてほしいと思います。
病院の落ち度については、病院がみるけど、そうでないものについては、双方の責任ということにする。
患者さんも自腹で払うリスクがあると、曖昧な治療は受けないと思いますし、保険の査定も、病院への見せしめではなく、もっときちんとしたものになることでしょう。
治療を受ける側は、治療費が高いと思うのも仕方がありません。
しかし、自費治療が主体のアメリカの比ではありません。
いかに保険制度に守られているかということを知ってほしい気持ちです。
病院もしかりなので、厚生労働省や健保組合のいいなりなのです。