今まで、睡眠薬の出し過ぎは、精神科ないし心療内科だと考えていた、厚生労働省は、そうでないことに気がつきました。
これは、薬剤料などが、電子請求になり、正確な数字を補足できるようになったのだと思われます。
年代にもよりますが、一番多く処方しているのは、内科医だったのです。
つまり、精神科領域を締め付けて、薬を減らしたけれど、それでも厚生労働省が思うように進まない一因を補足したわけです。
その端緒として、睡眠薬や抗不安薬を1年間以上、同じように出し続けた場合に、処方料を減算する、という規定を作りました。
今年の4月のことです。
ただし、除外規定として、専門の精神科領域の医師、ならびにそれに準じて、習った者は、処方料の減算を免れることにしました。
そのため、これまで訪れることのなかった、様々な領域の医師が、向精神薬の研修会に出席することになったのです。
今のところは、大変、甘い規定です。
専門医をとり、その継続をするために、規定の単位を取得し、レポートも提出し、さらに薬剤研修を受講してきた者からすると、そう感じます。
それでも、今回の改訂で、
「知識と経験のない者が、安易に出すのはよろしくない」
という、警鐘を鳴らしているのだと感じています。
実際、内科医あるいは、外科医が、単独で精神科領域の治療をした場合、ものすごい量の薬が投薬されていて、びっくりしたことが幾度もあります。
ちょっと眠れないと言葉に出した、おばあさんに、知らない間に睡眠薬が投与されていることも、しばしばあります。
不安が強いと感じたお年寄りに抗不安薬が投与されていることもあります。
しかも、その薬剤の量が多く、日中の眠気がきて、昼間眠るから、夜眠れなくなり、そのため、さらに睡眠薬が追加されることもあります。
一般内科でよく処方される薬は、デパス、ハルシオンなど、効果はあるけれども、短時間型で、依存性の高い薬が多いのです。
全体の薬を処方する、かかりつけ医で、そういうことが起きやすいため、その対策の第一歩を踏み出したのだろうと思います。
一部の領域を規制するだけでなく、全体で規制をかけないと意味がないため、そこに着手したということです。