治療をしていて、具合がよくなったから、薬を減らしていこうという話が出てくることがよくあります。
「もう1回様子をみて、次に具合がよかったら、減らしましょうね」
と約束して診療を終えることもしばしばあります。
自分も、そのことを忘れないように、カルテに赤字で書き込んでおきます。
そして、1ヶ月経ちました。
何ともなかった人には、減らす薬や減らし方の算段を決めていきます。
しかし、不思議なことに、けっこうな確率で、こんなことが起こります。
「今回は、家の問題があって、苦労しました。まだ、見通しがついていないので、薬は減らないでください」
「仕事が急に忙しくなりました。負荷がかかっているので、今薬を減らすのは心配です」
「人間関係のトラブルに巻き込まれました。薬を増やすほどではありませんが、このまま様子をみたいです」
なんてことが、起こって、少しだけびっくりします。
前の約束が、次に何かが起こることを暗示しているのか?
いい時期が続いた後、ちょうど、変化の波が来る前だったのか?
不思議なことですが、そういう時は、
「分かりました」
と言って、そのまま維持します。
最近は、話を聞いた後、
「人生は、平坦じゃないからね」
というと、
「うん、うん」とうなずく方が多くおられます。
詳細は分かりませんが、バイオリズムというものがあります。
睡眠周期、生理の周期があることには異論がないでしょう。
その他、苦手な季節がある方も多くみられます。
梅雨時は、低気圧になりやすいので、敏感な方は、気圧が下がる時に頭痛がきます。
また、温度の寒暖差が大きいと、自律神経がうまく調節できないため、体のだるさを感じることもあります。
天気によって、気分がかなり左右される方もおられます。
その他、急に家族が病気で入院して大変になった。
親族が急に亡くなって、葬儀関係で疲れた。
など、予測がつかないことも起こります。
そういう私自身にも、最近、どこかで来るけれど、「今日くるのか?」という、急な心配事やストレスがやってくることがあります。
人は、通常、
「明日は今日の延長線上でやってくる」
と思いこんでいます。
しかし、決してそんなことはないのです。
あらかじめ、備えることができることは備え、そうでないことは、その時にこなしていくしかありません。
人生が平坦だと考えていると、落とし穴にはまります。