舌をかみそうな名前です。
「かみこあにむら=上小阿仁村」という人口2500人ほどの小さな村があります。
平成の大合併で、秋田市とは一緒にならず、独立した村のままです。
ここが無医村になる危機が迫っています。
今回、この記事にするのは、村が無医村になる憂いより、
無医村にならざるを得ない悪しき何かがうごめていることです。
この村の唯一の医療機関である診療所に医師が定着しない問題が物議をかもしています。
(以下、Wikipediaを中心に引用)
1)2008年(平成20年)3月、僻地医療に従事して医師が、「この村が最後の勤務地。
人への愛情、興味が尽きない限り、診療を続けたい」と赴任されました。
実際、同年2月に着任しました。
しかし、村人からの強烈な嫌がらせにより、わずか4ヶ月で辞意を表示、着任6ヶ月で退職されました。
2)2009年(平成21年)1月、離島やタイで医療に従事していた医師が着任しました。
しかし、この医師も翌年の2010年3月に辞意を表明しました。
この辞意の表明後、多くの村民からの慰留、
村当局による改善策の申し出により、いったん、辞意は撤回されました。
しかし、同年9月に再び退職願を提出し、2011年(平成23年)2月下旬に受理されました。
3)さらに、村の公募に応じて、2011年(平成23年)6月から女医さんが赴任されましたが、
数々の嫌がらせを受け、2012年(平成24年)5月に辞意を伝え、10月に退職されました。
この頃から、m3という医師を中心としたコミュニティサイトで、話題にあがりました。
誰も赴任しないとか、赴任しても同じことになるという意見が中心でした。
4)そんな中、2012年10月より70歳の医師が着任しました。
着任した時には、「健康状態はよく、80歳まではいける」と語っていたそうです。
その方が実際に着任されてから、わずか1ヶ月足らずの11月上旬に辞意を伝えています。
理由は、体調不良としています。
理由の真偽については、まったく分かりません。
ただ、これにより、赴任1年以内に4人の医師が
連続して辞意を表明したという事実が残りました。
この問題の背景には、医師がひとりという激務だけでなく、
モンスターペイシェントによる嫌がらせ、
そして、真摯に対応しなかった村役場の姿勢にあるとされています。
公にされている状況だけ拾ってみてもいくつかあります。
・昼食をとる時間がなく診療所内で食事をしようとパンを買ったとき、
「患者を待たせておいて買い物か」と住民に責められる。
・年間休日は18日。土日や祝日も村回り、お盆も診療を続けた。
しかし、盆明けの8月17日を休診にすると、
「平日なのに休むとは一体何を考えているんだ」と批判した住民がいた。
・診療所向かいの自宅に「急患にすぐに対応できるように」と、
センサー式照明を自費で設置したが、「税金の無駄遣いをしている」と苦情を言われた。
・自宅に嫌がらせのビラをまかれた。
・村の広報誌に医師への対応についての苦言がのせられたが、何も改善されなかった。
かなりのベテランや相当の覚悟をもって赴任してこられたと思われる医師が
短期間で次々とやめられるには、それなりの背景があるものと推測されます。
ちなみに、この村は、閉鎖的な傾向にあり、
女性が発言することをこころよしとしない風潮もあるそうです。
また、秋田県は、自殺率が1位となった年が何年もありました。
この村でも、住民が3000人に満たないにも関わらず、
年間に5人も自殺したりと、大変高い比率を出した時期があります。
この村には、次の医師が赴任することはないかもしれません。
中傷は、とても人を傷つけます。
そして、最後は自分たちのもとに返っていくのです。