10年くらい前にオープンした寿司屋があります。
貸しビルの限られた席で営業していました。
値段が安い割においしくて、結構通っていた時代がありました。
その内、人気店になって、予約なしでは、入りづらくなりました。
また、にぎり寿司も同じ金額でも、内容が以前より劣り、安めの材料で、同じような色合いの魚で埋め尽くされ、昔のような鮮やかさはなくなっていました。
他の人で埋まっているので、わざわざ、うちが食べに行く必要もないかと、その後、めったに通うことがなくなりました。
それから、年月を経て、主はテナントを出て、新築の自分の店を開きました。
神社の隣で、店の門構えも鳥居をこさえて、そこをくぐって入るように設計されていました。
新店舗になって、今まで注文することのなかった、サワラの叩きを口にすると、とてもおいしくて、また行きたいと思わせました。
ところが、最近、予約をとろうとしたところ、女性が電話に出て、「本日は、臨時休業です」と言われました。
その案内が、2週間に及んでいるため、大将は病気をしているのではないかと心配をしています。
新築のお店の建設費を考えると、ゆっくり休んでいる暇はないはずだと考えたからです。
一時、貸しテナントで不機嫌そうに見えた大将は、自分のしたいことが活かせず、もどかしい思いをしたのかもしれません。
一方、今回の休業は、店の存続を懸念する材料です。
いい仕事をする店は、残ってほしいものです。
ところで、先月、渋滞の中、普段通らない道を普段走らない時間帯にとろとろと運行していると、新しくできた、和食のお店を発見しました。
そのお店は、「割烹」とは書かず、「和食」と名乗っていました。
確かに、割烹というには、敷居が低いです。
しかし、和食と謙遜するのは、レベルの高いお店でした。
定食らしき料理は、
「おまかせ」と「特選料理」のコースが2種類だけ。
他は、値段の書いていないアラカルトです。
コースは、おまかせが3800円、特選で4800円です。
おまかせは、リーズナブルな料金でお得なコースです、と書かれてありました。
初めてのお店ですが、当日でも注文可ということで、「特選」を選んで、選別の対象としました。
結果、すべてに満足するわけではありませんが、よい品がいくつかあって、お腹いっぱいになる値段に見合った料理だということが分かりました。
2回目の訪問では、当日の昼に予約をとってから訪問しました。
不定休とのことです。
その当日は、大体客が入っているとのことで、料理の提供が遅くなるかもしれませんと、予め告げてくれました。
さて、当日は仕事が忙しく、私たちは、予約時間に間に合いませんでした。
案内のあった団体客はすでに盛り上がっていて、ワイワイ盛り上がっています。
こういう時には、離れた静かな空間があるとうれしいところですが、仕方がありません。
料理は、前回の特選よりランクを落とした、「おまかせ」料理にしました。
値段が安いため、質が落ちたかと思ったら、さにあらず、刺身は、厚い切り身で、前の時より、味わいが増している気がしました。
前回は、鴨肉だった鍋が、今日は、フィレ肉の陶板焼き
(さすがに値段を考えると、高級肉は出せません)
魚の煮付けは、前回は、金目鯛のまるごと1尾。
この度は、あら煮で、原価は抑えています。
しかし、味わいは負けていませんでした。
天ぷらもほどよい量。
〆のデザートも出て、お腹いっぱいになりました。
原価はともかくとして、味と満足度は、おまかせと特選と甲乙つけがたい感じを受けました。
夜の料理でもお得感がありますので、昼だとさらに安くていいものをお腹に入れることができるかもしれません。
久しぶりにいい店を見つけました。