2023年4月3日
これを続けていると、不幸になること!セクション5

不幸になる考え方は、いつもあります。
その中で、代表的なものをもう1つ取り上げます。

それは、一体、何なのでしょうか?

あなたも知っているかもしれません。
あるいは、気づいているかもしれません。

これは、私の妄想話ですが、案外、うなづけるところがあるかもしれません。

今回は、別のテーマについて掘り下げていきたいと思っています。

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登場人物紹介

講師
一文字浩介

地方の準難関大学卒であるが、なぜか帝国大学の講師をしている
心理学者の若手

興味は豊富で、多彩な知識を持つが、まだ何も大成していない
学術とは変わった認識を持つ
言葉使いは、ていねいだが、少し変わり者

生徒1
橘涼香

元、理系女子
宇宙など、壮大なものにあこがれる
宇宙物理学科を目指し、大学受験では合格できるレベルにあったものの、研究に残ることができる者は、ごく一部の天才だけと知り、人文科学を専攻する
気丈な性格といえる

生徒2
円山由貴子

文系女子
ふくよかで、穏やかな才女
彼女の優秀さは、時にかいまみられる
感性豊かな性格

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:では、さっそく、ツッコミを入れます。
それは、何なのですか?

一文字:サクッと言います。

「人と比べること」です。

橘、円山:あーーー。

一文字:自分と人を比べると、不幸になっていきます。
分かりますか?

Are you ready?

円山:比べる、つまり比較することが運を下げるということですか?

一文字:そういうことにもなります。

なぜ、人と比べることが不幸になるのか理解できますか?

円山自分自身の価値基準を持てなくなるからではないでしょうか。

その基準が揺らぐと、安定した自己肯定感を持てなくなります。

:そういえば、江戸時代の政策は、「農民は生かさず、殺さず」という方針でしたね。
そして、そのためにある言葉が作られました。

「上を見るな、下を見ろ」と

円山:その言葉は聞いたことがあります。

一文字:高校生の時、同級生が、夏休みに予備校で、夏期講習を受けていることを知って、ぼくもその講義を受けたいと嘆願しました。

受講した同級生は、すごくよかったと言いました。
もちろん、自分の意欲で、独学で勉強することはできます。
しかし、ぼくは、そこまでの計画性と実行する努力ができなかったのです。

一度、有名講師の授業を受けてみたかったのです。

円山:それなら、先生も受講したらよかったのに。
親御さんは、受けさせてくれなかったのですか?

一文字:はい。理由は簡単です。

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(過去の会話)

母:「受講料はいくらいるの?」
自分:「30万円くらい…かな」
母:「えー、そんなにするの!高いわね!…それに交通費と宿泊費もいるでしょう?」
自分:「……」
母:「あんた、いくら、かかると思っているの?」
自分:「……」

親からの了承は得られませんでした。

母:「うちには、そんなお金がない」

そして、母親は言いました。

「上を見るな、下を見ろ」

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それ以降、ぼくは、この言葉がものすごく嫌いになりました。

自分が不満を申し立てると、時々、親からその言葉を告げられました。

:……先生にも繊細な感受性があったのですね。
すごく理解できます。

円山:悲しい気持ちになってきますね。

:それにしては、缶ビールが高いから、発泡酒を飲んでいるという先生。
どうせなら、お酒やめたら、どうですか。お金浮きますよ!

円山:ハハ、そうですね。

一文字:いやー、間違いありません。

円山:でも、ここで、1つ大きな問題点を発見したわ。
自分で生きていく力がない子どもに、

「お金がないから、他の子と同じことができない」

という事実と言葉は、後によくない人格形成をする可能性があると思う。

:私も、そう思いました。
先生の繊細な性格の源泉の1つを発見しました。

一文字:円山君、橘君、ありがとう。
思春期は繊細なのです。

なぜ、そうした講義を受ける友人がいる一方、自分はどうして、それができないのか?

これは、単純に「お金があるかどうか」の問題です。
世の中の不平等を恨みました。

:先生も悩んで成長したのですね。

一文字:ちょっと変わった個人的な経緯の話をします。

ぼくは、小学生時代は、地元の公立学校でしたが、中学からは、高校、大学、大学院に至るまで国立学校に通いました。

これは、偶然ではありません。
自慢話でもありません。

ぼくは、子どもながらに、金銭的な問題で、私立の学校に通うことができないことを知っていました。

試験に合格しても悲しい思いをするだけなので、受験したことがないのです。
また、親に受験料を出させることにも抵抗がありました。

ただ、自然に通える公立学校では、学級崩壊、担任から虐げられる、いじめ問題、そして、いじめを止めようとすると、自分に膨大な圧がかかって、耐えられない環境でした。

公立中学校は、普通に行くと進級できますが、ぼくは、小学生時代に、学校のストレスで壊れかけていました。

たまたま、近隣に国立大学附属の中学校、高校があったことが、さいわいしました。

ぼくは、生涯を通じて、私立学校のすべり止めを一度も受けたことがありません。
受験料と校納金が家計を圧迫するからです。

実質のすべり止めは、最後(3月中旬)に行われる県立の公立高校でした。

さいわい、国立学校の合格が先に出たから、公立高校の受験も受けたことがありません。
国立学校の授業料は、公立よりさらに安価でした。
高校で、年間授業料が4万円でした(月額ではありません)。

ぼくは、優秀ではありません。
家庭の事情により、国立学校しか受験したことがない変わった学生だったのです。

:何か、考えさせられるところがあります。
私たちの家庭環境とは異なっている気がします。
残念な気持ちになります。

一文字:橘君、ありがとう。
普通に暮らしている中でも、そのような世界があるのです。

君たちがカウンセラーになった後は、さらに劣悪な家庭や貧困層の実態を知ることになるでしょう。

円山:変な言い方かもしれませんが、今日は、リアルに感じる社会勉強をさせてもらった気がします。

一文字:あ、そう言えば、自分の話ばかりして、テーマが進んでいきませんね。

円山:いえ、理屈より現実の話の方が身に染みます。

一文字:補足しますね。

「上を見るな」は、刃向かうなという押さえつけです。

「下を見ろ」というのは、優越感を持って苦痛を紛らわしなさいという意味です。

こういう考え方で、しあわせになることができると思いますか?

円山:いいえ。決して、しあわせにはならないと思います。むしろ、不幸になっていく気がします。
:私も同感です。

一文字:では、何がおかしいのでしょうか?

:上からの圧力?
円山:強制?

一文字:そうですね。
「自発的な考えではない」ことです。

それでは、ここで問います。

似たような場面で、しあわせになるには、どう考えたらいいのでしょうか?

:えー、いきなり壮大なテーマに置き換わった気がして戸惑います。

一文字:いえ、同じ土俵で考察するので、的を絞った質問にしていますよ。

円山:……えーと、こういうことを言うと、生意気かな?

一文字:いえ、ご自由にどうぞ!

円山:「知足」ではないでしょうか?

一文字:実にいい視点ですね。

知足は、足ることを知る
自分の現状の中で、しあわせを感じ取る力

:お坊さんの托鉢は知足になるのでしょうか?

一文字:そういうことを目指している行為だと思います。

では、「比べること」と「足るを知る」では、何が違うのでしょうか?

:「比べること」は、自分と人を比較すること。
その上で、優越感か劣等感か安心感かのいずれかを持ちます。

円山:「足るを知る」ことは、比較をしないで、自分の中のこうふくを見つける。

一文字:すばらしい!!

ただ、現実には、それを実行するのは難しいですけどね。

橘、円山:ハハハ、そう感じました。

一文字:思う事と行動することには、大きな隔たりがあります。
ダイエットしたいと思って、やすやすとできたら、ダイエットサプリは全滅します。

円山:あ、それは、そうなりますね。

一文字:それでも、まずは、現実を知ることです。
現在地と目的地がなければ、道のりは描けません。

人生は、その都度繰り返される修正で創られます。

……さて、時間になりました。
今日の講義は、終了します。

:また、先生の話、聞かせてね。

円山:涼香ちゃん、慣れ慣れしいわよ。

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考察:人と比べると不幸になる。足るを知る。
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注意:一文字浩介等、登場人物は、架空の人物です。
今日もフィクション話にお付き合いくださり、ありがとうございます。