同じような環境で同じような仕事をして、同じような生活を送っていると、ゆでカエルになってしまうという話を読んで、ごくたまに人に話していた。
カエルを熱いお湯の中に入れると、熱くて飛び出ようとするが、ぬるま湯から温めていくと、カエルは熱さに気がつかないで、その内、ゆでカエルになっていく、という挿話である。
ただし、私は、これが、科学的に事実であるかどうか、検証したことはない。
(あえて、カエルを残虐死させようとは思わないからだ)
わたしは、自分をいろいろ変えたつもりでいたが、この10年で、自身がゆでカエルになっていることに気がついた。
正直、ビックリした。
この10年で、ITが驚くほど革新したが、医療界では、それほどの大波はこなかった。
来なかったので、軽視していた。
そこで、レセプトコンピューターや電子カルテは、従来のものを改良したくらいに考えていた。
今のシステムに慣れて、使いやすくなっていたため、新しいものに目を向けなくなっていた側面もある。
最近になって調べてみると、これまでにない、新しいシステムが登場している。
10年前には、使えないかなと思っていたレセプトコンピューターが、右肩上がりにシェアを伸ばしている。
使い勝手もよくなり、料金も安い。
その上、以前はなかった、クラウドシステムが利用できるようになっている。
自社のパソコンが壊れても、場所が変わっても、クラウドでアクセスすることができる。
電子カルテを追加することが容易になる。
しかも、以前は、散々高い料金を支払わされていたものが、格安となる。
ネット検索をした際、驚くようなサービスさえあった。
電子カルテ 0円、システム維持料金 0円、予約システム 0円 という広告さえあった。
これまでのシステムは、メーカーの手のひらに載せられていた。
これが、利用者側に情報を選択できる権利が革新的に広がっている気がしている。
以前、何かを調べるのに、一番一般的なものは、百科事典だった。
今、紙媒体の辞典で調べている人は、ほとんどいない。
一時、CD + インターネットの辞典がそれにとって変わりつつあった時代がある。
しかも、そのサービスも消えた。
現在は、Wikipedia等、インターネットを介して、誰もが、無料で検索できるサービスがそうしたものに取って代わった。
この大きな波が、医療界でも起こりつつある。
航空券や宿泊を安くとる方法は、他の人より知っていたが、自分のお膝元の情報に取り残されていることを知って、驚嘆したしだいである。
自分は、ゆでカエルになりつつあったことを認めている。