髙橋真梨子の持ち歌に、「5番街のマリー」という曲があります。
当時、ペドロ&カプリシャスというグループ名で出ていました。
この曲を知っている人は、ある程度、古い方(お年の方)かもしれません。
ベストアルバムに収録されていますので、もう少し若い方でも、それで聞いた方もおられるでしょう。
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歌詞
五番街へ行ったならば マリーの家へ行き
どんなくらししているのか 見て来てほしい
五番街は 古い町で 昔からの人が
きっと住んでいると思う たずねてほしい
マリーという娘と 遠い昔にくらし
悲しい思いをさせた それだけが 気がかり
五番街で うわさをきいて もしも嫁に行って
今がとてもしあわせなら 寄らずにほしい
五番街へ行ったならば マリーの家へ行き
どんなくらししているのか 見て来てほしい
五番街で 住んだ頃は 長い髪をしてた
可愛いマリー今はどうか しらせてほしい
マリーという娘と 遠い昔にくらし
悲しい思いをさせた それだけが 気がかり
五番街は 近いけれど とても遠いところ
悪いけれどそんな思い 察してほしい
提供元: LyricFind
ソングライター: Shunichi Tokura / Yu Aku
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さて、今では、懐かしいような、古めかしいような匂いが漂う曲です。
ただ、私は、この歌は、聞き手を幻想に誘う曲で、本当にそんなことがあるのだろうかという疑問を持っています。
なぜ、幻想だと思うのかという理由は、NYの5番街は、そんな郷愁にかられるほど、のどかに過ごすことのできる場所ではないからです。
ところで、5番街って、どのような場所かご存知ですか?
その背景を知らないと、これまで言っていることが理解できないでしょう。
Googleマップで検索できる人は、その場所がマンハッタン島の中でも、セントラルパークの南側に位置した高級商業地であることを理解することができるでしょう。
アメリカの治安は、日本と比べて、はるかに厳しい。
その中で、人通りが絶えなくて、かなり安心して歩くことができるのが、セントラルパークから南の街なのです。
セントラルパークは、それ自体が、広大な土地と森林を持ち、NYで一番と言っていいくらいの憩いの地になっています。
世界3大博物館である、メトロポリタン美術館が存在する場所です。
ですから、安らぎと繁華街の双方を味わうことができる場所が5番街なのです。
日本で言えば、皇居や日比谷公園がある辺り?
帝国ホテルやペニンシュラがあります。
いや、それ以上でしょう。
NYには、そんな地は他にありませんから。
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5番街にあるのは、少しの例をあげると、
プラザホテル(経済に詳しい人には分かる、プラザ合意が行われたホテル)
ティファニー本店
トランプタワー
など、世界に名だたる名店がいくつもあります。
一方、5番街のマリーの歌詞に書かれている雰囲気は、決して裕福な暮らしをしている風にはみえません。
東京で言えば、日比谷、六本木のような地価の高い場所で、賃貸料を払って住んでいられるのか、という素朴な疑問があります。
確かに、裕福な人以外が住むことが難しいでしょう。
それでも、5番街においても、安アパートが存在するという話があります。
それに現代ではなく、過去の話ですから。
今、アメリカはまれにみるインフレに襲われ、住宅価格も高騰しています。
持ち家を持っていない人は、家賃に収入の半分を割かないといけないこともあります。
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この歌は、過去の時代を映した話であるとともに、空想で作られたものであると考えます。
(だから、いい悪いというものではありません)
現実は異なっていても、創作は自由です。
美空ひばりさんが歌っていた、「ああー、川の流れのように」という川も日本の川ではありません。
秋元康さんが、NYには、のイースト川をイメージして書いたと言われています。
人は、期待や希望を持つことができないと耐えることが難しいのです。