公立病院では、医師は頻繁にタダ働きをさせられます。
大学病院は、最たるものです。
大学病院は、一般に医療水準は高いことが多いです。
一方、国立の大学病院の仕組みは、悪いお手本を示しています。
今年のGWの休日に、外来診療を行う病院が多く見られます。
休日出勤で手当をつけるか、あるいは、職員に懇願して、無償で危機を乗り切るように働きかけているのか、私には分かりません。
とにかく、私の出身大学(岡山大学)の周辺にある大病院は、軒並み、休日診療を2〜3日程度は行うことを決めたようです。
中には、もっと長い期間を設定している病院もあります。
一方、大学病院においては、「人件費」の問題から、10連休は、そのまま休みとするようです。
1日の外来診療数が3000人ですから、影響も大きいでしょう。
しかし、この連休の間も、大学病院の医師は、病棟の患者と救急患者をみるために、忙しく働くことでしょう。
一方、医師以外の人は、休日での労働を嫌がるはずです。
患者さんの病状が悪化したため、医師が放射線技師に労働時間外の撮影を依頼したところ、「自分はオフだから」と平然と断って、担当医師に、「お前は、患者を見殺しにするのか?!」と押し問答が凝り広げられたという話を聞いたことがあります。
最近になって、医師は労働者として、時間外労働の給付金を求めるようになりました。
一方、医師以外の職種において、労働時間外の割増手当は既存の当たり前の権利です。
大学病院においては、医師の病棟業務は、タダ働きをする代わりに、他の職種が出勤した場合には、しっかり給与に反映されるのです。
その医師以外の職種の手当が捻出できないものと考えられます。
以前、後輩が、郵便局関連の病院(広島市)に派遣された時、配達員の方にこう言われたそうです。
「先生は、若いのにわしらより、いい給料をもらえてうらやましいのう」
後輩は言いました。
「ぼくは、土日も働いています。夜も出ています。時間当たりの給料は、あなたより低いです。ぼくは、あなたが決められた日に休むことができてうらやましい」
そう答えると、配達員の方は、黙したそうです。
困ったことに、医師以外の職種において、国立および公立病院は、民間病院よりも給与水準が高いのです。
しかも、給与が高い割に働かない人も多いのです。
この人事と給与を見直さないと、公的病院は生き残っていけません。
地方の病院で、医師が退職して、診療休止になった病院あるいは、大幅削減となった公的病院が多数あります。
公的病院は、民間病院と比較して、医師の給与は高くありません(むしろ、低いことが多いです)。
しかし、他の職種の給与は、民間病院よりも高い。
公的病院の医師は、きつい仕事をしても、他職種には理解してもらえず、燃え尽きてしまうのです。
これが、しばしば公立病院から医師が去る、大きな理由の1つとなっています。
国立、公立病院では、医師のブラックな働き方を見直すとともに、その他の職種の働き方や給与にもメスを入れる必要があると思われます。