アルツハイマー病の原因と考えられているもの
・脳に有害なアミロイドβ蛋白が神経細胞に蓄積することにより、脳神経細胞が死滅すると考えられています。
これまで、アミロイドβの前駆体物質から、アミロイドβを産生させないようにする研究が世界中で行われていました。
これを成功させると、アルツハイマー病を予防するワクチンが開発できるからです。
しかし、アミロイドβの前駆体物質は、生体の生存に必須なものなので、日本も含む世界中の大手の製薬会社が開発に苦労しています。
最近では、このような従来の手法に限界があるのではないかと考え、スイスの大手の製薬会社を初めとして、研究を中止するところが増えました。
今後は、遺伝子治療による研究を行おうとしていた矢先に驚くべき記事が掲載されました。
・アルツハイマー病 予防ワクチンを開発 前橋・老年病研究所などのグループ
出典:上毛新聞 2019年8月6日 (火) 配信(m3.com参照)
・原因物質を非毒性化
認知症の原因となるアルツハイマー病について、老年病研究所認知症研究センター(前橋市、東海林しょうじ幹夫センター長)などの研究グループは5日、遺伝子を組み換えた大豆からワクチンを作製し、根本治療のための予防薬を開発したと発表した。マウスによる実験で、神経に悪影響を与えるタンパクを減らし、非毒性化させた。こうした仕組みの治療は世界初という。今後、臨床試験に向けて研究を続ける考え。
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以下、要約
アルツハイマー病の脳を再現したマウスを使う。
ワクチンを投与したマウスと通常の大豆だけを与えたマウスとの記憶能力を比較した。
ワクチンを投与したマウスでは、抗体が作られ、毒性の高い物質の割合が減り、学習機能の低下が抑制された。
治療で問題とされる脳髄膜炎や出血などの副作用は確認されなかった。
※これまで、開発されたワクチンでは、脳炎や出血など、死亡率が高く、安全性が担保できないために薬として使うことができませんでした。
今回の治療法は、注射ではなく、経口投与で、植物の遺伝子組み換えによるワクチンの精製で、安全性が高いようです。
ただ、発症したものを治すものではないため、発症前から長期間にわたって服用する必要性がありそうです。